Q&A

ご利用に関する質問

質問
何歳まで見てもらえますか?
回答
東戸塚こども発達クリニックでは初診はおおむね15歳まで(中学3年生まで)とさせていただいております。継続して長く見てほしいという方には、継続の方に限り成人期まで相談が可能です。当クリニックでは長期のフォローアップも大切と考えています。しかし成人期には当クリニックのみでは完結しない諸問題も存在いたしますので、他機関との連携をする場合があります。
質問
遠方なのでなるべく一度に診断とか評価をしてもらいたいのですが。
回答
お子さんは初めての場所が苦手だったり、日によって様子が異なることがあります。そのため初回の診察のみで診断をすると見誤る可能性があります。当クリニックではお手数ですが、何度かご来院いただき、検査の様子などから診断を確定していきます。その回数や内容は各自異なりますので評価の計画を立てるときにご相談ください。
質問
こどもを連れていくのに気が引けます。親だけでも相談できますか?
回答
診療は本人の受診が原則となっておりますが、初診前の事前相談という形でお受けすることができます。診療内容の項の事前相談のところを参考にお申し込み時にお伝えください。この場合は自費診療になります。その後、本人様の保険診療に切り替えることは可能です。
質問
こどもがクリニックに行くのを嫌がっています。どう伝えたらいいでしょうか。
回答
これはお子さんによって異なります。一般論としてはだまして連れてきたり、「〜ができないから、それをみてもらおう」という伝え方では拒否することが多いようです。うまくいっていない時に自分を評価されることに恐れを抱くことは当然です。お子さん自身が相談したいことがあればそれでいいのですが、そうでない場合もお子さんが前向きに受診できるようにお話しすることが必要です。見通しが持てないと不安になるお子さんには分かりやすく伝えることも大切でしょう。
質問
男の先生が苦手なのですが。
回答
お子さんによっては男の先生は怖いと言われることがあります。当クリニックの院長は男性ですので、診察は男の先生になります。しかし心理士は女性ですので、お子さんのタイプにより精神療法の担当を調節することができますので安心して受診してください。
質問
予約時間を遅れた場合はどうなりますか。
回答
遅れた場合は、次の方の予約時間が来るため、診察の時間が通常より短くなるとお考えください。当日キャンセル後の再予約や7日以内の予約変更には再度予約料が必要となります。
質問
現在、○○病院もしくは××療育センターにかかっているが診断や治療方針について相談ができますか。
回答
現在ご利用の医療機関を継続してご利用することを前提に当クリニックではセカンドオピニオンの相談をお受けすることができます。診療内容の項のセカンドオピニオンのところを参考にお申し込み時にお伝えください。セカンドオピニオンは自費診療になります。
質問
年に1回ぐらいでフォローしてもらいたいのですが。
回答
当クリニックでは診察間隔が6か月以上のフォローは設定しておりません。それは発達障害そのものは治療対象ではなく、2次的な障害の予防や新たに発生した2次症状に対して治療的介入をするという立場で診療をしているからです。現在、相談の必要がない方は一旦終了とさせていただきます。当クリニックで一度評価を受けられた方については間隔が開いても、予約ができない状況にはいたしませんので、新たに問題が生じたとき等の必要時に受診することができます。
質問
やはり初診料は高いのですか?
回答
当クリニックでは原則保険診療ですので、保険で決められた料金になります。ただし保険診療で認められている予約に基づく診療として予約料3,300円(土日は4,400円)がかかりますので少し高くなるかもしれません。実際に窓口でお支払いになる額は年齢や保険の種類、診療内容によって多少の差があります。ご心配な方は予約時に概算をお伝えできます。なお自費診療をご希望の方は多少ご負担が大きくなりますので事前にご確認ください。保険診療・自費診療の項目をご参照ください。
質問
クリニックにかかっていて他の医療機関を紹介していただけますか。
回答
いつでもできますので遠慮なくお申しつけください。この場合こちらの診療を終了する、一般の紹介と、こちらの診療は継続するが、他の医者の意見を聞きたいというセカンドオピニオンの2つがあります。どちらも可能ですが性格が異なりますので、予めどのような目的で受診されるのかお伝えください。また発達障害の原因となる基礎疾患の精密検査が必要な場合も医療機関を紹介いたします。
質問
クリニックにかかっていることを知られたくないのですが。
回答
当クリニックの個人情報の扱いについては個人情報の項をご覧ください。個人情報に関しては診療以外に使用することはなく、外部に出す場合は保護者の了解をいただいた場合を除いて一切ありません。診察の際にお呼びするときに、お名前ではない方がいい方はあらかじめお申し付けください。番号等でお呼びいたします。
質問
学校の先生とは連携してもらえますか。
回答
可能です。学校の先生に診察に同席していただいたり、心理評価の結果を学習課題に生かしてもらえるように心理の面談に同席してお伝えすることもできます。ただし個人情報の守秘の件もあり、お電話でのお問い合わせには応じかねます。保護者からの要請による診断書などの文書でのやり取りも可能です。
質問
他の医療機関で診断がついているのですが、また新たに評価を受けないといけませんか。
回答
ケースバイケースですが、我々もお子さんのことが分からないと支援のしようがありません。原則的にはまず評価の計画を立てさせていただきます。しかし前医からの紹介状などから十分な情報が得られれば、評価には時間は短縮されると思います。
質問
診断や知能検査などの結果は文書でいただけるのでしょうか。
回答
診断書、心理評価書として発行できます。ご希望の方はお申しつけください。作成にはお時間をいただく場合がございます。当クリニックで決められた文書料がかかります。
質問
自立支援医療や生活保護医療扶助は使えますか。
回答
使えます。ただし、予約料や自費診療の場合はその対象外です。
質問
発達障害以外の病気でも診てもらえますか。
回答
原則、当クリニックは発達障害の専門クリニックです。したがって風邪などの内科疾患に関してはかかりつけ医に受診していただくことをお勧めします。しかしお子さんの状態からそれが難しい場合にはご相談にのります。

診療内容に関する質問

質問
子育ての悩みについても相談できますか?
回答
できます!お気軽にご相談ください。当クリニックでは継続的な相談を基本にしておりますが、お母さま方の「こんな育て方でいいの?」「やる気のある子に育てるにはどうしたらいいの」などの子育てに関する相談にもお受けしております。お子さんの発達特徴を知っていただき、お子さんにとって最良の環境や適切な対応を考えていきます。
質問
薬物療法は受けられますか。
回答
自閉スペクトラム症、注意欠如・多動性障害をはじめとする発達障害の行動上の問題についての薬物療法を受けることができます。ただし、当クリニックでは安易な薬物療法は行っておりません。自閉症をはじめ発達障害は薬物のみでは治療は困難です。当クリニックの対象がこどもである以上、薬剤による副反応をはじめ、慎重な姿勢が必要と考えています。先に的確な診断や評価に基づいた対応や体制作りをした上で、本人の過ごしにくさを軽減する必要があると判断される場合にのみ薬物療法を行います。量もできるだけ少量で使用するため、対象とする症状の完全抑制を目的とはしておりません。あくまでも本人が快適に生活できることを目標として使用いたします。
質問
言語療法や作業療法は受けられますか?
回答
当クリニックでは言語療法や作業療法を行っていません。必要がある方は他の医療機関や療育機関を紹介しています。一般的には幼児期はお住いの市区町でことばの教室等の療育施設があることが多いようです。学齢期は教育機関の言語通級などを利用されることが多いようです。希望される場合はまず言語聴覚士や作業療法士の評価を受けて訓練を始めるかどうかの検討が必要です。またその子の成長において何が優先されるかを加味して無理な訓練から2次障害が出ないようにします。
質問
身辺自立などの個別療育は受けられますか。
回答
身辺自立の課題やコミュニケーションの課題についてはお子さんの生活の場であるご家庭や幼稚園・保育園、学校と連動して行うと効果的ですので、そのためのプランニングもいたします。現在は各地域に療育センター、児童発達支援、放課後等デイサービスがあり、クリニックでの療育に通っていただくことは少なくなりました。基本的には幼児期は家庭、幼稚園・保育園、療育センター、児童発達支援で、就学してからは学校、放課後等デイサービスでの療育をお勧めしております。当クリニックでは一部のお子さんに対してですが、自立課題やコミュニケーションの課題について個別に療育を行っています。頻度が少ないため、お子さんの生活の場との連携が必要となります。ご興味のある方は診察でご相談ください。
質問
臨床心理士によるこどものカウンセリングは可能ですか?
回答
可能です。ご希望の方は、診察時にお申し出ください。本人へのカウンセリングの適応についてはお子さん年齢や状況によりますので、診察の際に医師にご相談ください。一般的にお子さんが小さいうちは親御さんの相談でもうまくいきますが、お子さんが成長してくると本人が自分から相談できるようになるとうまくいきやすいようです。保険診療で行う場合、月に1回を基本としてで1回30分で行っています。
質問
医療機関にはかかっているのですが、そこでは心理検査ができません。検査のみ受けることができますか。できれば年に1回とか受けたいのですが。
回答
当クリニックでは認知の評価は全体の評価の一部と考えていますので、知能検査のみされることはお勧めしておりません。しかし、主治医を他に持っていても検査ができず、ご不自由されている方もあるかと思います。そこで自費診療にて検査をお受けすることもできます。その場合、検査と結果の説明の2回の来院をしていただきます。検査希望に方は、お申し込み時にその旨お申し出ください。自費診療の費用等は料金を参照ください。
質問
脳波やCTなどの検査ができますか。
回答
当クリニックでは脳波やCT等の医学的な検査ができません。ご希望の方は可能な医療機関を紹介いたしますので、遠慮なされずにご相談ください。こちらからもお勧めする場合があります。また薬物療法を行っている方への副作用チェックとしての血液検査は当クリニックで行うことができません。この検査はお近くの医療機関やそれぞれのかかりつけ医などでも可能なのでご希望の方は検査依頼の紹介をいたします。
質問
運動の発達が遅いのですが。
回答
運動面の遅れについては医学的検査や理学療法の受けられる医療機関を紹介いたします。しかし運動の遅れだけでなく、知的な発達の遅れがみられるようならその点に関しては継続してご相談が可能です。
質問
就学するにあたり学校をどうしようかと迷っています。できれば普通級に入れたいのですが。
回答
就学に関するご相談にも応じることができます。ただし当クリニックの考え方としては、学校選びは環境調整の一つであって、ゴールではありません。お子さんにとってどのような教育環境が望ましいのか、受動的に考えるのではなく、お子さんを中心に考えていきます。
質問
おじいちゃん、おばあちゃんにも自閉スペクトラム症注意欠如・多動性障害学習障害について知っていただきたいのですが
回答
どうぞ診察にご同行ください。また基本的な知識については当クリニックでも保護者向けの教室も企画しておりますのでご利用ください。

発達障害について質問

質問
発達障害とはどんなものなのか教えてください。
回答
発達障害とはこどもが成長していく過程で身につけていく能力が同年齢のこどもに比較して劣るために、何らかの不適応があることと定義されます。こどもの年齢が幼いと遅れていても特に困らないということがあります。しかしこどもの場合はこのまま大きくなったら不適応が生じるかを予測して判断することが必要です。発達の遅れは大きく運動機能と精神機能の遅れに分かれます。運動の遅れは首がしっかりすることやおすわり、一人歩きの時期をみて気づかれることが多いのですが、こうした症状に加えて診察による神経所見を診ることによって診断されます。精神発達の遅れはこどもの身体所見や血液検査、脳波などの医学的な検査ではなく、発達検査や人や物へのかかわり方や興味の向け方といった行動を分析することによって診断されます。しかし現在はさらに単なる遅れだけではない発達のバランスの悪さ、発達の不均一さから不適応を起こしているものが多いことがわかってきました。2004年に施行された発達障害支援法で定義されている“発達障害”はこうした発達に偏りがある「自閉スペクトラム症」、「注意欠如・多動性障害(ADHD)」、「学習障害」などを指します。これらは、知的障害を併せもつ場合もあれば、知能には全く問題のない場合もあります。最近の診断ではこれらを神経発達症と呼ぶようになりました。

自閉スペクトラム症

相互的な社会関係の質的な異常とコミュニケーションにおける質的異常、および限局した常同的で反復的な行動や関心によって特徴づけられます。わかりやすく言えば対人関係や社会性の障害です。こどもだと言葉の遅れ、しゃべるけど会話が成立しない、友達と遊べない、集団活動に参加できない等で気付かれることが多いようです。以前は広汎性発達障害と呼んでいて、程度により自閉症、アスペルガー症候群と名付けていました。最近の考え方では軽症から重症までひっくるめて自閉スペクトラム症と呼ぶようになりました。

注意欠如・多動性障害(ADHD)

この一群は早期の発症、著しい不注意と多動、衝動性を主徴とし、このような行動特徴が様々な状況でも、いつまでも持続していることによって特徴づけられます。不注意とは忘れ物や失くし物が多い、片付けができない、集中力がない、気が散る、ケアレスミスが多いなどです。多動とはそわそわして落着きがなく、離席や衝動的な行動がみられます。2次障害を起こしやすく、学業への影響も大きいので注意が必要です。

学習障害(LD)

医学的には学習能力の特異的発達障害ひとつとして位置づけられ、全般的な知的発達には遅れがないが、読字、書字、算数などの技能の正常な習得パターンが発達早期から損なわれる障害です。教育においては、読む、書く、計算する以外に話す、推論する能力についても含まれており、診断の混乱を起こしています。また広汎性発達障害や注意欠如・多動性障害に学習障害を合併することもあり注意が必要です。主なものは読み書き障害で文字から音韻への変換の障害と考えられています。学習においては大きな影響がありますので、早めに支援の方向性を決めることが必要です。
質問
よく知的なおくれ(知的障害)ということばを聞きますが精神発達障害のことなのでしょうか。今は遅れていても追いつくのではと思いたいのですが。
回答
20世紀初頭に知能検査が作られ、知的な遅れについて評価できるようになりました。それから長い間、精神発達障害は主として知的障害を指していました。つまり全般的な知的な遅れの程度で障害を捉えていました。発達には個人差があります。今遅れていてもいずれ追いつくのではと期待するのは親の気持ちとして当然のことだと思います。発達に遅れがあるという判断は、あくまでもその時点での判断です、その一点のみの判断ではなく、どのくらいの速さで発達しているのか、経過を追って確認していくことが必要です。現実的には伸びていくこともあれば、下がっていくこともあります。幼児期であるほど変化しやすいので、この間は年に1回くらいの評価をお勧めしています。また全般的な遅れだけでなくバランスの問題もありますから、気になるときは専門家に相談されるのが良いと思います。大切なことはお子さんのレベルを知ることでお子さんに合った課題を提供してあげることです。
質問
こどもに遅れがあると気づいたときに大切なことは何ですか。
回答
一番大切なことはこどものことを知ることです。自分の子がどんなことが得意で、どんなことが苦手なのかを知ることです。何かしなくてはと焦ったり、巷に溢れる情報に振り回されず、じっくりと自分の子どもにあたたかい眼差しを向けることが大切です。その子の特徴や発達のレベルを知ることによって、どんな関わり方をしたらいいのか、どんな環境を作ってあげたら良いのかを考えることができます。難しさもありますが、我々をはじめ一緒に考えていくスタッフがいますから、安心して相談していただければと思います。
質問
こどもの発達については心配なのですが、診断されると思うと何かレッテルを貼られるようで怖いのですが。
回答
評価と診断は密接な関係にあり、原則的には評価をすれば診断がつくかつかないかのどちらかになります。お子さんのことを理解するためにも、診断を受けることをお勧めしております。しかし診断を聞くと気になってしまい、かえってお子さんの特性を見れなくなってしまう恐れのある方は診断名を伝えずに相談をしていくことも可能です。診断を付けることはあくまでもお子さんの状態を理解するためのものですので、目的ではありません。お子さんの特性を知ることで、それに合わせた対応が可能となり、その子らしい発達を見守ることが目標です。また診断がつくと一生障害者になるのかと思われる方もいらっしゃいますが、知能や発達の特性は成長により改善したり、他のスキルで埋め合わせることができることがあります。いくら特性があっても困らない人は障害者ではありません。将来にもサポートが必要なのかにより障害か、そうでないかが決まります。サポートが必要なければ、障害ではありません。逆にサポートが必要な人は十分なサポートが受けられるようにしていく必要があります。まずは診断したうえで、今後の発達の様子を確認していくとよいでしょう。
質問
発達障害は何歳になったら診断ができますか。またどのくらい通ったら診断できますか。
回答
何歳になったら診断できるかは発達障害の種類と程度によります。比較的早期に診断できる場合もあれば、学齢期にならないと診断できない場合もあります。また診断のための経過観察の時間も様々です。こどもは成長することが前提ですので、成長によって状態が大きく変わることもあります。かと言っていつまでも様子を見ましょうと言っていても支援の機会を逸してしまいます。したがってできるだけ早い時期に暫定的でも診断をしていくこととしています。それからも評価をしながら支援をしていきますので、成長によっては診断名は見直していきます。初診時に評価のプランを個々にお伝えしていきます。
質問
本人への告知はどうしたらいいですか。
回答
診断がついたとき、それをお子さんに伝えていいのかは、どなたも悩まれます。本人から質問してくることもあります。お子さんから聞かれて、保護者が衝動的に伝えてしまったり、つい否定してしまったという場合もあります。発達障害の本人への告知については医療の側ではまだ一定のコンセンサスがあるわけではありません。お子さんの年齢や理解度によっても変わるかもしれません。当クリニックではお子さんの年齢や状況により告知の必要性などを検討していきます。また診断名を告知することよりも、本人が自分の特性を知ることのほうが大切ですので、それに取り組めるプログラムも用意しています。
質問
ことばが遅れています。原因として考えられることは何ですか。
回答
ことばの発達には発語だけではなく、ことばの理解ややりとり(コミュニケーション、会話)の発達があります。発語に目が向きやすいのですが、発語は個人差も大きく、むしろ理解面に注目する必要があります。また言葉だけでなく全体的な発達にも気を配る必要があります。ことばが遅れる原因には

(1)音の聞こえが悪い場合
(2)知的な遅れがある場合
(3)コミュニケーションの障害がある場合(この代表的なものが自閉症です)
(4)言語のみの遅れがある場合

が考えられます。これらの原因によって対応も変わってきますので、正確な評価が必要です。
質問
児童相談所ではアスペルガー症候群と診断され、他の医療機関では広汎性発達障害と言われました。またあるクリニックでは高機能自閉症と言われ、いったい何なのか分からなくなりました。どうなっているのでしょうか。
回答
こうした混乱は知的な遅れのない自閉スペクトラム症のお子さんによく見られる現象です。そもそもこれらは同じ特徴を持っているため、カテゴリー分けをすることにあまり大きな意味はありません。程度の差により診断が変わるのですが、どこで線引きをするかによって名前が変わってしまうのです。そのため最近では程度にかかわらず自閉スペクトラム症と呼ぶようになりました。要はそれぞれのお子さんの特徴を理解していればいいわけです。
質問
こどもが学校に行けなくなってしまいました。発達障害なのでしょうか。
回答
不登校の原因として発達障害が関与することはあります。しかし不登校すべてがそれと関連するわけではありません。まずはお子さんのつらい気持ちを聞いてあげること、子どもの特徴を理解してあげることが大切です。その過程で、発達上の問題があれば、その点に配慮することで改善が期待できます。発達障害の診断にはお子さんの現在の状態だけではなく、幼児期の発達歴なども重要です。
質問
4歳の男の子ですが落ち着きがなく幼稚園でもよく立ち歩いてしまいます。いわゆる多動症でしょうか。
回答
注意欠如・多動性障害(ADHD)は不注意、多動、衝動性を主徴とした障害です。落ち着きがないこどもを見るとADHDではと考えがちですが、自閉スペクトラム症に多動を伴うことは珍しくありません。また落ち着きがないと一口に言っても、訳が分からず多動になっているのか、わかっていても多動になってしまうかは意味が違ってきます。行動には理由があります。こどもの感じ方や受け取り方、考え方を理解するとどうしてあげればうまくいくのか見えてきます。神経の病気から多動になることもありますので、行動面を評価するだけでなく、神経所見や検査が必要なこともあります。
質問
保健所で障害があるといわれました。どう育てていったらいいのかわかりません。
回答
お子さんに障害がある、障害が疑われると聞いた時、だれでも大きなショックを受けられると思います。しかし一口に障害といっても重いものから軽いものまで幅広く存在します。またこどもの場合は成長により状態は変化いたしますので、今の状態のままで続くわけではありません。発達障害であっても大人になって社会で自立して暮らしている場合も珍しくありません。まず落ち着いてお子さんの状況を整理してみましょう。心配なことがあるにしても笑顔で生活ができているなら、お母さんの対応がそれほど的外れではないと思いますので安心してください。お子さんの評価をして、これからのことを相談していけばいいと思います。基本はお子さんの発達のレベルや特徴に合わせてあげるということです。当クリニックではお子さんの発達の特徴を知るお手伝いをさせていただいています。お子さんの状態が不安定な方は早めのご相談をお勧めします。
質問
こどもはほめて育てましょうとよく言われますが、いつも叱ってしまいます。どうしたらいいでしょうか。
回答
私も含めてですが、療育者はよくこの様な事を言います。しかし親がこどもを全く叱らないで育て上げることは至難の技でしょう。でもこれから話すことをよく考えてみてください。まずこの言葉の真の意味は何でしょうか。ほめてもうまくいきませんということもよく聞きます。つまりほめる、叱るというのはあくまで手段であって、その目的は他にあるからなのです。端的に言うとその目的とは自己有能感、自信を高めること、セルフ・エスティーム(自分の存在を大切に思う心)を育てることにあります。こどもの頃にこれが育っていないと、がんばることも、他人を大切にすることもできなくなります。ほめるということはこの自己有能感を上げ、叱ることは低下させることにつながります。ただし、叱ることにより理解が進んだり、奮起することもありますので、必ずしも悪いわけではないのです。要はバランスの問題とこどもの受け止め方の問題だと思います。叱られてばかりだと誰だって自信をなくしますよね。また叱られていることがどこがいけなかったのか理解できないのに叱っても、叱られたというネガティブな感情しか残らないのです。さらに発達上の特徴により、その方法に多少の工夫が必要なことがあります。それがうまくいかないと先に話したようにほめているのにうまくいかないということになります。つまりほめるにしても叱るにしてもこどもの特性に合わせてすることが必要ということです。分からないことを叱られても効果がないということです。この点についても当クリニックではお子さんのレベルに合わせてどうしたらいいのかを相談することができます。
質問
一生懸命育てているのに、うまくいきません。他のお母さんは楽しそうに育てているのに私が悪いのでしょうか。
回答
うまくいかないと自分が悪いのではないかと自責の念に苦しんだり、周りから「お前の育て方が悪い」と非難されたりすることがあります。苦しんでいるお母さんほどまじめで、他の親御さん以上に努力されていることが多いです。私もお子さんの治療をしていてうまくいかないで焦ることがあります。その時はもう一度スタートラインに戻るようにしています。つまりお子さんのアセスメント(評価)に戻ります。うまくいかないことの原因はいわゆる診立て違いのことが多いのです。お母さんもお子さんのことをこうだと決めつけていないでしょうか。こどもの発達はそれぞれです。早い子も遅い子も、偏っている子も様々です。標準的な対応を押し付けるほどうまくいかない場合は、その子に合った対応をすることで見違えるほどうまくいくことがあります。お子さんの特徴を知ることが大切なのです。我々はそのお手伝いをすることができます。何なりとご相談ください。
質問
こどもが言うことを聞きません。障害のせいでしょうか。
回答
まず大人が一方的に自分の都合で、こうでなければとか、自分の言うことを聞かそうと考えていないでしょうか。大人の言うことをよく聞きことがこどもの成長の目標ではありません。自分で考えて行動できる子にすることです。しかしついついこどもは親の言うことを聞いてくれると助かるものですから、親の言うことを聞く子がいい子で聞かない子は悪いこと思ってしまいがちです。まずその認識から改めてください。その後でこどもに適切な行動を自ら選択していくことを教えるにはどうしたらいいか相談に乗ります。
質問
以前、自閉症と診断されて通園施設に通っていましたが、今はどこにもかかっていません。やはりどこかにかかったほうがいいのでしょうか。
回答
幼児期に診断され通園などで学ばれた方は、その後は学校の先生とうまく連携しながら医療機関にもかからずやれていることがよくあります。したがって必ずしも医療機関にかかっていなければならないものではありません。しかしうまくいっているのかモニターするのが難しい場合もありますし、うまくいっていないのに気付かず、思春期に至るまでにはかなりこじれてしまっていることもよくありますので、今はうまくいっていると思っていても定期的なフォローアップはお勧めをいたします。またお子さんが大きくなってくると親にはなかなか本音をしゃべらないということもあったりしますので、臨床心理士によるカウンセリングが有効な場合もあります。
質問
発達障害は治りますか
回答
これについてはいろんな考え方があります。特性ががらりと変わってしまうことは少ないと思いますが、成長により変化していくことも事実です。これは特性が目立たなくなることも顕著になることもあるということです。また障害という概念で言うと周りからの支援が必要な状態を障害と呼んでいるので、支援が必要ない方は障害者ではありません。特性がありながらも将来においても支援が必要なくなれば、治ったと言ってもよいのかもしれません。当クリニックでも大人になる頃には通院が必要でなくなり、クリニックを卒業していくお子さんも少なくありません。
質問
他の親御さんの話を聞きたいのですが。
回答
直接、他の親御さんを紹介することは個人情報のこともあり難しいですが、発達障害の親の会や地域訓練会等は紹介することができます。院長の私自身が自閉症の親の会の一員であり、現在は発達障害の親の会のネットワークもございますので、親の会の情報についても当クリニックから発信していきたいと思っています。
また当クリニックでは「療育ワークショップ」、「ハーティム}というものを企画しています。少人数の保護者のグループワークで、講義を聞いたり、同じ立場の親同士でお互いに不安や悩み事を話をしたりする機会にもなります。関心のある方は受付でお問い合わせください。

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